治療の進め方
当院では、矯正治療を次のように進めています。
おおむね、初診 → 検査 → 診断 → 治療プランのご提案 → 治療 → 保定 → 治癒(終了)といった流れになります。
初診/検査
まず初回のご来院のときに、問診(初診相談)と簡単な診査を行います。
ここでは、気になる歯並びのことや、どのように治したいとお考えか、などをじっくり伺います。
そして、お口の中を拝見します。
そこで、矯正治療が必要と判断される場合は、専門的な検査のお勧めをいたします。
検査の所要時間は30分ほどです。
検査では、歯形をとり、口(歯)の写真と、顔の写真を撮ります。
レントゲン撮影も行います。
歯の全体をスクリーニングする意味で撮る「パノラマレントゲン写真」と、お顔のレントゲン写真(セファロ写真)を撮ります。
このようなお顔のレントゲン写真を撮るのは、歯科矯正治療のひとつの特徴といえるでしょう。
これらにプラス、必要と思われる場合は、あごの関節のレントゲン撮影や、あごの運動のチェックもします。
さらに特殊なレントゲン撮影(MRI,CT撮影など)必要と判断された患者様には、連携している大学病院に、より専門的な検査や治療をお願いすることもあります。
診断/治療プランのご提案
検査の約1カ月後に、診断をお伝えするために来院していただきます。
1カ月という期間が必要なのは、その間に技工所に歯形をつくってもらうためです。
また、お顔のレントゲン写真をもとに、あごの大きさ、歯の位置、歯の傾きなどの計測・分析(セファロ分析)も行っておきます。
2回目の来院時には、診断をお伝えし、それに応じた治療プランをご提案します。
治療プランは、患者様によってはひとつしかない場合もありますが、たいていは複数ご用意し、選択していただいています。
患者様は一人ひとり、年齢も性格も、生活パターンも、考えていることも違いますから、紋切り型の治療方針では進められません。
患者様とよく話し合って合意の方向を探り、最終的な治療プランを立てます。
このとき、予想される治療期間や、通院の頻度、予算もすべてご提示します。
もちろん、話し合いで新たな修正・変更も可能です。
治療
いよいよ治療に入ります。
矯正治療は「歯を動かす」ことですから、治療期間は長くかかるものと思ってください。大人の方の場合、2年から2年半はかかります。
もちろん症状によっても違いますし、全体矯正ではなく部分矯正ならもう少し早く終わります。
逆に、動かす歯の本数が多かったり、動かす距離が長かったりすると、もっと長くかかります。歯を抜くか、抜かないかも重要なファクターです。
治療期間の通院のペースは、基本的に月に一度です。
矯正装置をつけている間は虫歯や歯周病にもなりやすいので、ブラッシングの指導をていねいに行います。
保定
矯正治療は、「矯正装置をとれば終わり」ではありません。
取ったあとにも一定期間、その状態を安定させ維持するために「保定装置」をつける必要があるのです。これを「保定」といい、最低でも3年から5年はかかります。
「長いな」と感じるかもしれませんが、これが標準です。
保定期間も含めたトータルな期間を、歯の矯正に必要な年数だと考えておかれるといいでしょう。
長期にわたる保定がなぜ必要かと申し上げますと、矯正装置を外しますと、歯というのはまた元の状態にじわじわと戻っていくからです。いわゆる「後戻り」と呼ばれているものです。
唇や舌の動き、筋肉、歯を取り巻いている骨、線維は、歯並びが悪かったときの状態を記憶しています。
だから装置を外すと、そこへ後戻りしようとするのです。
新しい環境は、居心地が良くないためです。
そのためには、じっくりと時間をかける必要があります。これに有効な薬などはありません(笑)
しかし、この保定期間は、矯正装置の時に比べると、ストレスはかなり軽減されます。
なぜなら、装置を自由に外せますし、通院のペースは3カ月に1回程度で済むからです。
虫歯ができれば虫歯の治療も可能です。
そして最終的には月に一度の使用にまで減らしていけるのです。
焦らないこと、が大事です。
私は、ご理解いただける患者様では、4年でも、5年でも、「使用期間が長ければ長いほど良いのです」とご説明しています。
当クリニックの最高記録は、保定12年の成人男性の方で、現在も継続中です。